子供たちとの出会い
私たち夫婦には子供ができませんでした。
子供がいない生活も一つの選択肢としてありましたが、私はそれを選択する気はありませんでした。
私は、家庭には子供がいるべきだと漠然と感じていました。
その思いは私が感じていた以上に強く、私に子供をつくる能力がないことが判明すると、即座に児童相談所に里親制度について聞きに行っていました。
里子を実子として育てる。
希望と期待。
世界が明るく見えました。
児童相談所で里親になるべく研修を受け、里親会に入り活動し、2年が経過したころ、今の息子と出会いました。
当時はまだ7ヶ月
ヨダレかけが似合う大きな蟹座の男の子。
オムツは確かビッグより大きい。
食べるの大好き。
日常生活が子供中心に動いていく楽しさ。
充実していました。
息子が3歳を過ぎたある日、児童相談所から連絡が入りました。
5ヶ月の女の子の里親になりませんか?
答えは、はい!
児童相談所の施設へ向かい初対面。
乙女座の女の子。
妻が、この子可愛いよといったのを覚えている。
研修が始まった。
お風呂に入れて、オムツ交換し、ミルクを飲ませ、遊んで、寝かしつける。
女の子だからか、抱っこが軽い。
息子は気合いを入れて抱っこしていたが、娘は片手で余裕だった。
可愛い。楽しい。
里親経験者ということもあり、トントン拍子に話は進み、乙女座の女の子は我が家へ。
ついに我が家は4人家族になった。
里子ではなく実子として
我が家は、子供たちを里子と思っていません。
実子として育てています。
もちろん、子供たちは自分たちが里子であることを理解しています。
里親会にも参加しましたし、生まれ育った施設のイベントにも参加し、自身のルーツを大切にするように伝えました。
また、子供たちの誕生日のたんびに、父さん母さんと血はつながっていないが、実親は父さん母さんなんだよ。生みの親と実親、実親は父さん母さん。あなた達を育ててるでしょ。あなた達は生まれるお腹を間違ったんだよ、おっちょこちょいだね。と子供たちが1歳のころから数年間伝え続けました。
いわゆる告知というものです。
子供たちは素直に受け入れてくれました。
里親会を退会する
里親会にはいろいろとお世話になりました。
同年代、同じ境遇の子供たち。
親目線からは、里子は特殊ではない、みんな一緒だよと感じてくれればいいと思っていましたが、子供たちは知ってか知らずか分かりませんが楽しく遊んでいました。
ただ、私はそろそろ退会するべきかなと思っていました。
里親会ですから、里親制度の推進が目的の一つでもあります。
養子縁組も制度推進に含まれています。
ですが、我が家と方針が合いません。
我が家は実子として育ており、養子縁組はしていますが、養子として育てていません。あくまで実子です。
ですから広報写真一つでも顔が写っていないか気になりますし、里親推進イベントも極力参加しないようにしていました。
方針の違いです。
里親会でたまたま数名が退会する際、私たちも退会させて頂きました。
子育ては大変
子育ては大変です。
悩みがつきません。
ですが子育てがない人生を選ぶ気はありませんし、後悔なんて0.000001ミリもありません。
子供の成長が何よりも楽しみであり、生きがいでもあります。
子供たちがいるから会社に行きます。
たぶん、子供たちがいなければ、喜んで生活保護になっていたかもしれません。
私はこの子たちに会うために今まで生きてきたんだと本気で思っています。
過去の理不尽も、恵まれない環境も、ただ試練だったと思えます。
月日が立つのは早いもので、息子は高校生、娘は中学生になりました。
もう、私がなにか手伝うこともなくなってきました。
子離れの時期です。
怒る回数も減らさなければならないし、自由にさせなければならない時期です。
分かっているのですが、なかなかできない。
ついつい口を挟んでしまう。
今後は子離れが課題です。
里親の必要性
私たちは実子として育てることを選択しましたが、里親制度を否定している訳ではありません。
それどころか、私たちは里親制度の推進に賛成しています。
私たちが実子を選択したのは私のエゴです。
ただ、そうしたかったのです。
冷静に考えます。
子供たちにとって家庭で育つことは大切です。
父が仕事に出て、母が育児をする当たり前の風景。
家庭のモデルを見せること。
大事なことです。
そして、もう1つ大事なことがあります。
それは、子供の成長の過程を知っている人がいるということです。
家庭で育った子供には、当たり前ですが幼稚園、小学校、中学校と成長の過程を知る親がいます。
ですが、施設で育った場合はいかがでしょう。
施設の人は、当たり前ですが入れ替えがあります。
その子の写真は残るでしょうが、その子と時間を共有した人は異動により居なくなります。
3歳の誕生日、幼稚園のお遊戯、小学校の運動会、高校受験。
時間を共有した人がいない寂しさ。
家庭は大事ですよね。
里親は、子供たちに家庭を与えることができます。
幸せな子供は、社会で正しく生きていきます。
より良い社会を創るためにも、里親が増えることを望みます。
